反射光式露出計の露出補正

概略

露出計には大きく分けて2種類あります。それは、被写体が受けている光の明るさを測る入射光式露出計と、被写体が反射する光を測る反射光式露出計です。一般的に被写体の適正露出を得やすいのは入射光式露出計の方なんですが、被写体の位置からカメラに受光部を向けて測定しなければならないため、街頭スナップでは実用的ではないと言えます。一方、反射光式露出計は撮影者の位置から測定できるため気軽に使うことができますが、被写体の反射率を考慮して補正しないと適正露出が得られないという問題があります。

AF一眼レフに内蔵されているTTL露出計などは反射光式の露出計ですので、反射光式露出計を使いこなすことは非常に重要と言えます。このページでは、反射光式露出計ではどうして露出補正を行う必要があるのかを説明し、反射光式露出計を使って適正露出を得るための露出補正のやり方をまとめてみようと思います。AF一眼レフをお持ちの初心者の方は、是非この機会に露出補正のやり方をマスターし、ポジを思い通りの露出で撮れるようになってください。

2003年 作成

入射光式露出計と反射光式露出計の違い

まず、入射光式露出計と反射光式露出計の測光の違いについて簡単に説明しておきましょう。そこで、唐突ですが、スピッツ (白) と ラブラドール (黒) が公園の芝生のど真ん中でじゃれてる状況を考えてみます。天気は晴れ。

スピッツとラブラドール

入射光式の露出計は、被写体に当たっている光の明るさを測りますので、基本的には被写体によらず適正露出が得られます。この場合は露出計がはじき出したf8 + 1/250が適正露出で、下のように写ります。

適正露出

一方、反射光式の露出計では被写体によって反射された光を測ります。反射光を測る場合、同じ光で照らされていても被写体によって反射率が異なるため、光源の違いだけではなく被写体の違いによっても測光値が変化してしまいます。つまり、反射光を測ってもどういう光源状態なのかを特定することができないので、そのままでは露出を決めようがないという根本的な問題があります。そこで反射光式の露出計では、世の中全ての被写体の平均反射率が18%のグレー (白と黒のちょうど中間の明度をもつグレー)であると仮定し、これを基準に測光値を示すことになっています。言い換えれば、被写体が白かろうが黒かろうが、フィルムに反射率18%のグレーの明度で写るような測光値を示すということです。

スピッツとラブラドールが公園の芝生のど真ん中にいる状況でスピッツを測ると、反射光式露出計はf8 + 1/1000の測光値を示します。そしてこの露出で撮影した場合は下のように露出アンダーに写ってしまいます。

露出アンダー

ラブラドールを測ると、反射光式露出計が示す測光値はf8 + 1/60となり、下のように露出オーバーになってしまうのです。

露出オーバー

ちなみに、芝生を測った場合はf8 + 1/250となり、最適露出が得られます。これは芝生の反射率が18%に近いためです。

以上見てきましたように、反射光式の露出計を使う場合は被写体の反射率を考慮して、露出計の測光値に補正を加えて露出を決める必要があるのです。

反射光式露出計の露出補正

具体的にどのように露出補正を行うのかをまとめたいと思います。ここでは、一眼レフに内蔵されたTTL露出計を用いて中央重点的平均測光かスポット測光を行い、ポジで撮影する場合に限定して説明します。なお、TTL というのは Through the Taking Lens の略で「撮影レンズを通して」という意味です。

慣れてくれば露出補正量は何となく決められるようになるのですが、最初はなかなか難しいものです。というのも、私たちが持っている視覚システム (眼→外側膝状体→大脳皮質視覚野) は色を認識しますが、一般的な反射式露出計はイヌさんやネコさんと同じく世界をグレースケールで見ており、色の見えとその反射率の間には例えば以下のようなズレがあるからです。

カラースケール
グレースケール

カメラ内蔵の露出計を使って露出を決めるためには、人間が露出計に合わせてあげるしかありません。色の認識が邪魔をするので直感的に被写体の反射率を得ることはできませんが、色と反射率との関係をある程度覚えておけば、露出補正はもちろん、黒白写真を撮る時にも生かされます。

実際に露出補正を行ってみましょう。測光モードが中央重点的平均測光の場合はファインダー中央の比較的広い範囲、スポット測光の場合はファインダー中央に ○ あるいは (  ) で表示された狭い範囲の被写体の反射率を見極め、露出を補正します。基本的な戦略としては、 白いものは大きくプラス補正
淡いものはややプラス補正
濃いものはややマイナス補正
黒いものは大きくマイナス補正
でいいでしょう。より具体的には以下のようになります。

+2.5 純白・銀色
+2 白い花・一面の雪景色
+1.5 黄・淡いオレンジ・淡いピンク
+1 女性の顔・濃いオレンジ・逆光・夜景
+0.5 黄緑・濃いピンク
±0 18% 標準反射板・手の甲・青空・草木の葉・土・コンクリート
−0.5 濃い赤・濃い緑・夕景
−1 暗い状況を意図的に再現する場合
−2 黒っぽいもの・藍・紫
−2.5 純黒

この表は、自分の経験と、色々な本で書かれている露出補正量の目安をミックスして独自にはじき出した補正量です。露出の補正は状況と作画意図によって大きく変わり得るものですので、この表はあくまでも参考程度にお考え下さい。

以上、見てきましたように、露出補正はなかなか難しいものです。イマイチ自信が持てない場合や絶対に外したくない場合などは、ブラケット撮影を使うのもアリでしょう。その場合たくさん撮るとフィルムがもったいないので、自分で決めた露出に±0.5段分ずらした計3コマでブラケットする程度でいいと思います。では、楽しいポジ撮影を。

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