フィルム現像の手順
 

 

フィルム現像をするということ

写真が好きで撮る本数が多くなれば、バカにならないのが現像料ですよね。節約写真生活を送る上でこの現像料は結構痛いものです。でも、自分で現像をしてしまうと、135フィルムでも120フィルムでも、モノクロネガなら1本あたり35円程度。カラーネガでも1本80円程度でできてしまいます。これはとっても助かります。

フィルムの自家現像をするのは、もちろん安く上げるという目的もあるのですが、それだけではありません。なんと言っても自分が撮った写真を自分の手で現像するという満足感がありますし、やっていて楽しいです。もちろん現像の手間はかかりますが、私なんかはいちいちラボに出しに行ってそれをまた受け取りに行く方が手間だと感じます。

でも、大変そうだし難しそう・・・と思われる方、フィルムの現像なんて簡単です。フィルムをリールに巻いてタンクに入れ、後は処理液を出し入れするだけです。手順を守って行えば、誰でも失敗せずに現像できます。最初は失敗してしまうこともあるかもしれませんが、それもまた楽しいものですよ。やってみなければ失敗を経験することもないわけですから。たとえ失敗してしまったとしても、何回かやっていくうちに必ずちゃんと現像できるようになると思います。少しでも興味がおありでしたら、チャレンジされてみてはいかがでしょう。写真の世界が広がると思います。自分の撮った写真を、他の誰でもない自分が一番最初に見ることができるという優越感を是非味わってみてください。

2001年 作成

以前から書こう書こうと思いつつ、自家現像から遠ざかってしまったので書けずにいた廃液処理について追記しておきます。自家現像を行う場合は、必ず、しかるべき方法で廃液を処理する必要がありますので、是非ご参考にしてください。なお、デジカメ全盛の昨今、薬品も感剤も種類が減り、そして値上げがなされている厳しい現実があります。ランニングコストを考えれば、デジカメを使うのがいいに決まっています。それでも、自分でフィルムを現像する、さらにはプリントまでヤッチャウ楽しみは、経験者じゃないと決してわかりません。

2009年10月6日 追記

 
 
 
 

フィルム現像をするにあたって

現像用品と現像薬品の購入

まずは、道具がないと始まりません。フィルム現像用品フィルム現像薬品のページを参考にして、必要なものを一通り揃えてしまってください。初期投資はそれなりにかかりますが、ランニングコストはかなり抑えられますので、頑張って揃えちゃってください。

繰り返し使用する現像処理液の準備

現像用品と現像薬品を揃えたら、フィルム現像で繰り返し使う処理液を作っておきます。というのも、繰り返し使う現像液定着液水洗促進液水切り液は作って一晩は寝かせてから使った方が安定するからなのです。フィルム現像用品のページで紹介したタンク(最大処理液量650ml)を使うのであれば、直接タンクに入れる現像液、定着液は各1リットル、リールをタンクから出して浸ける水洗促進液、水切り液は各2リットル作られるといいでしょう。あと、水切り液は前浴液としても使いますので、前浴液用に同じ物をもう1つ作られておくと便利です。各薬品を溶解する水は薬局で売っている精製水を使うのがベストですが、水道水でも10分程度煮沸して湯冷まししたものならば問題はありませんし、煮沸していない水道水でも実際問題は起こっていませんので大丈夫だと思います。なお、溶解の方法は薬品の袋に書かれてありますので、必ず指定された方法で溶解するようにしてください。

繰り返し使う処理液はいつ、何という薬品を溶解したか、また何度現像処理を行ったのかを記録しておく必要があります。それは、ちゃんと処理回数をチェックしておかないと処理液の交換時期がわからなくなるからです。そのために便利なチェックシートをダウンロードできるようにしておきますので、ご利用ください。 エクセル版 薬品使用回数チェックシート Ver. 2.01 (31.0KB)

現像場所の確保

ここまで準備ができたら、次に現像する場所を決めましょう。フィルム現像のみで紙焼きをしないのであれば暗室は必要ありませんが、水が使える場所でないと困ります。流し台や浴室などを利用して現像ができる場所を確保しましょう。

廃液処理方法の決定

現像を行うと必ず廃液が出ます。そしてこの廃液には有害な物質が含まれますので、決してそのまま垂れ流してはいけません。いくつか廃液処理方法を提案しておきますので、適切だと思われる方法を決定する参考にしてください。

馴染みの写真屋さんに引き取ってもらう

これは最も簡単な方法の一つです。写真屋さんならその道のプロですから安心です。ただし、引き取ってもらえるかどうかはわかりません。まず馴染みになって、事情を相談し、その上で引き取ってもらえるよう交渉するといいでしょう。金額等は恐らく馴染み具合によって変わってくるでしょう。

廃液処理業者と契約する

松田産業株式会社環境関連事業部が有名です。こちらは個人でも契約ができ、廃液処理を委託することが可能です。まずは環境関連事業部まで問い合わせてみてください。私もお世話になっています。

自分で処理する

こちらは色々と面倒です。まず、地方自治体あるいは地方自治体の公共下水道事業者に問い合わせ、写真廃液処理について相談しましょう。そこで進められた方法に従うのが無難です。もし、どうしても自分で処理したい場合は、法令および自治体が定める排水基準を確認した上で、確実に基準をクリアするように処理して排水することになりますが、あまりオススメはできません。

 
 

モノクロフィルム現像の手順

以下にモノクロフィルム現像の手順をまとめます。実際の現像作業では液温管理をきちんとしなければならないのに加え、処理時間もきちんと計らなければなりません。そしてきちんと手順を守って作業を行ってください。そうすれば、現像を終えた後には綺麗なネガを目にすることができるでしょう。

手順や処理時間を間違えないためにも、前浴から水切りまでのスケジュールをまとめたファイルを用意しましたので、これをダウンロードし、プリントアウトして貼って置かれるとよいでしょう。これは実際私も貼っています。ちなみに、このファイルのスケジュール表では、処理薬品を使うところに番号を付けています。ビーカーに同じ番号を書いておくと、作業とビーカーの番号が対応しますので、手順を間違えることなく作業を行えると思います。 ワード版 モノクロ現像の手順 (21.5KB)

[準備1] 現像処理液の準備

まず最初に処理液を準備しましょう。モノクロフィルムの現像では、前浴液、現像液、停止液、定着液、水洗促進液、水切り液が必要になります。前浴液、現像液、停止液、定着液は、現像するフィルムの種類、本数に合わせてタンクの底に指定された液量の各薬液を用意し、それぞれ1リットル用のビーカーに入れておきます。そして、サーモヒーターに25度程度のお湯を張ったバットを載せ、そのバットの中に前浴液、現像液、停止液、定着液それぞれが入ったビーカーを入れて各液温が20度(処理によって異なります)になるようにサーモヒーターを調整します。水洗促進液、水切り液はリールが浸かりきる分だけ用意し、それぞれ2リットル用のビーカーに入れておきます。なお、水洗促進液と水切り液は特に液温を調節する必要はありません。

現像液・定着液・水洗促進液・水切り液

現像液、定着液、水洗促進液、水切り液は既に作ってあるものを必要な液量だけそれぞれ専用のビーカーに注ぐだけです。この際、現像液には絶対に定着液が混入しないよう気をつけてください。

前浴液

前浴液は使い捨てにして毎回新しく作ります。前浴液に使用するのは、水切り液の10,000倍希釈液です。通常、ドライウェルを用いた水切り液は200倍に希釈したものを用いますので、それをさらに50倍に希釈して使います。例えば600mlの前浴液を作りたいならば、600mlの水に12mlの水切り液を希釈させて使います。

停止液

停止液も前浴液と同様使い捨てにしますので毎回新しく作ります。1.5%の酢酸水溶液になるよう富士酢酸等を希釈して、必要な量だけ作ってください。水でも代用できます。私は、大量の処理を行うようになってから、いつも水でやっていました。

[準備2] フィルムのセット

処理液が準備できたら、フィルムをタンクにセットします。セルフローディング式のリールだとフィルムの巻きつけは簡単に行えますが、初めて行うときはフィルムを1本犠牲にして巻きつける練習を行っておいた方がよいでしょう。35mmフィルムの場合はセットする前にフィルム引き出し器を使ってパトローネからフィルムの端を少し引き出し、ハサミでフィルムの巻き方向と直角に真っ直ぐカットしておきます。用意ができたら、ダークバックを広げてください。そして、ダークバックの中にフィルム、栓抜き(35mmフィルムの場合のみ)、リール、ハサミ、タンクを入れます。このとき、作業がしやすいように並べておいてください。次に、手袋をはめ、ダークバックに腕を突っ込みます。そして、35mmフィルムは栓抜きでパトローネを空け、ブローニーはテープをはがし、フィルムの先をリールに突っ込んでリールを前後にグルグル回転させます(セルフローディング式の場合)。フィルムの巻き付けが大体終わるとフィルムの巻き尻をハサミでカットし、完全にリールに巻きつけてしまいます。フィルムがリール内に収納されたらタンクの中に入れ、しっかりふたを閉めるとおしまいです。ダークバックからタンクを取り出してください。以降は明室で作業できます。

[準備3] タイマーのセット

フィルムのセットが終わったら、キッチンタイマーを各処理時間に合わせてセットしておきます。これで準備完了、次はいよいよ現像作業に突入です。

[作業1] 前浴

それでは、ここから現像作業に入ります。最初は前浴で、処理時間は30秒。タンクに速やかに前浴液を注入し、タイマーのスイッチを入れます。全液量がタンクに入ったらタンクの底を軽く叩いて泡取りをしましょう。そして30秒間攪拌を行います。フィルム現像用品のページで紹介したタンクは、攪拌を行うための棒が付属していますから、これをタンクに挿し、左回りにグルグル回すだけで回転・上下の攪拌が行えます。30秒が経過したらタイマーを止め、攪拌を行う棒を抜き取ってからタンクを下向きにし、前浴液を入れていたビーカーに前浴液を一気に排出します。

[作業2] 現像

前浴液を排出したらすぐに現像液を注入し、タイマーのスイッチを入れます。注入後、タンクの底を叩いて泡取りをするのは以降同じです。現像時間は薬品の種類や液温によって異なりますので、現像剤の袋に書かれている時間に従ってください。ここでは、最初の1分間は連続攪拌を行い、あとは55秒放置、5秒攪拌を繰り返すという攪拌方法をとりますが、現像時間が短い場合は最初の30秒を連続攪拌、あとは25秒放置、5秒攪拌の繰り返しでもいいでしょう。他にも攪拌の方法はありますが、これで問題ありません。攪拌の回数は多すぎても少なすぎてもよくないので、初心者の方は上記のいずれかの方法で行うようにしてください。指定の時間が経過したらタイマーを止め、現像液を速やかに排出します。

[作業3] 停止

現像液を排出したら今度は停止液をすぐに注入し、タイマーのスイッチを入れます。停止時間は30秒。前浴と同様、泡取りをした後、30秒間連続攪拌を行います。30秒経てば、タイマーを止め、停止液を速やかに排出してください。

[作業4] 定着

停止液を排出したらすぐに定着液を注入、タイマーのスイッチを入れます。定着時間は、フジフィックスの場合10分です。泡取りをした後、1分間の連続攪拌を行い、55秒放置5秒攪拌を繰り返します。10分が経過すればタイマーを止め、定着液を排出してください。

[作業5] 予備水洗

定着液を排出したら水洗ホースの根元を水道の蛇口に繋ぎ、先をタンクの穴に挿し水道水を流し込みます。しばらくし、タンクから水が溢れ出したのを確認してからタイマーのスイッチを入れます。予備水洗時間は30秒、その間水を流し続けます。30秒が経過すればタイマーを止め、水洗ホースの先をタンクから外し、タンク内の水を排出します。ここまでくれば一安心です。

[作業6] 水洗促進浴

予備水洗が終わったら、タンクのふたを開けます。軸ごとリールを取り出し、定着が出来ている、つまり「ネガ」になっている様子を確認した後、水洗促進液の入ったビーカーの中にゆっくりと浸けます。タイマーで1分間計りながら放置し、時間がきたら取り出します。取り出したリールは軸ごともう一度タンクにセットします。

[作業7] 本水洗

今度は本水洗です。予備水洗と同じ要領で、今度は5分間水洗を行います。5分経てば、またふたを開け、リールを軸ごと取り出します。

[作業8] 水切り浴

取り出したリールを軸ごと水切り液の入ったビーカーの中に入れます。泡を立てないようゆっくりと浸け、静かに上下に動かしながら液になじませます。経験ではこの水切り液が一番手荒れしそうな感じなので、作業はエンボスグローブをつけて行ってください。水切り時間は30秒。水洗促進浴と同様に放置し、30秒経ったら静かに引き上げます。

[作業9] 乾燥

水切り浴を行った後は、流しの上にリールを置いて水切り液を自然に切りましょう。このとき、あまり振ったりしない方がいいと思います。余分な水切り液が落ちたところで、リールを外し、フィルムにクリップを取り付けてホコリのないところで乾燥させます。水切り液は拭き取る必要もありませんし、さらに水洗する必要もありませんので、そのまま乾燥させて大丈夫です。後は乾くのを待つだけです。

[作業10] 後片付け

フィルムが乾燥するまでの間に後片付けを済ませてしまいましょう。繰り返し使用する現像液、定着液、水洗促進液、水切り液は貯蔵ビンに戻します。1回限りの前浴液と停止液は廃棄してください。多めの水で薄めてから流せば大丈夫でしょう。後は、使用したタンク、リール、ビーカーなどを水洗してから片付けてください。

[作業11] 切断と収納

フィルムが完全に乾燥すれば、35mmフィルムなら6コマずつ、ブローニーの6×6なら3コマずつハサミでカットしてフィルムシートに収納しましょう。この際、フィルムに指紋が付かないよう、手袋(エンボスグローブではありません)をはめて作業を行ってください。

 
 
 
Tweet