PHOTOSNIPER FS-3 の紹介記事
 

 
製造元 KMZ
型式 一眼レフカメラ
使用フィルム 135フィルム
フレームサイズ 24×36mm
レンズマウント M42 マウント
付属ボディー ZENIT-ES
(ZENIT-E のカスタマイズ版)
付属標準レンズ HELIOS-44M F2/58mm
絞り: f2 - f16
(半段ごとにクリックストップ)
撮影距離目盛(m): 0.55, 0.6, 0.65, 0.7, 0.8, 0.9, 1, 1.15, 1.3, 1.5, 1.7, 2,・, 3, 4, 6, 10, ∞
フィルタ径: φ=52mm
付属望遠レンズ TAIR-3-FS F4.5/300mm
絞り: f4.5 - f22
(1段ごとにクリックストップ)
撮影距離目盛(m): 3, 3.5, 4, 5, 6, 8, 10, 15, 20, 40, 80, ∞
フィルタ径: φ=72mm
絞り制御 マニュアル絞り
シャッター 横走り布幕フォーカルプレーンシャッター
シャッタースピード 1000, 500, 250, 125, 60, 30, 15, B
電池 不要
備考 ある意味ソビカメの真骨頂、ライフル型望遠一眼レフ。
 
 

 
 

記録的な大雪として東京に初雪が舞い降りたその日に、極寒の地モスクワから街の遊撃手がやってきました。実はこの PHOTOSNIPER FS-3 を我が手に受け取るまでには、トレンディードラマ(死語)ばりのドラマチックな展開があり、さらにその総仕上げが大雪とは、やってくれるじゃありませんかスナイパーさん。まさにその紆余曲折ぶりを如実に語っているようであります。

コトの発端はと言いますと、ZENIT 16 購入を皮切りに私の ZENIT 熱がどんどん上昇し始め、やっぱりコレだよコレなんですよコレが漢なんです写真の狙撃をしたいんですレアなヤツで撃ちたいんです、ということで、「FS-12とFS-122以外のフォトスナイパーを探してください、レアなFS一桁希望」という厄介なお願いメールをロシア時計カメラ店 ベルニサージュの河原さんに出したことに始まります。その送信日が2002年9月4日。

最初の入荷メールを頂いたのはそれから間もない9月16日。でも、入荷されたのが FS-12-3 ということだったので「ごめんなさいそれじゃないです一桁でお願いします」と返信、何往復かやり取りして、もう少し待つことに。

そして10月7日、「見つけました!!!」というサブジェクトのメールを受信。高鳴る鼓動を抑えつつ開いてみると、入荷されたのは FS-3 とのこと。でも、私が一番こだわっていたのはグリップとショルダーストックの形状で、よく見かける FS-12 シリーズや FS-122 シリーズのそれとは違うもの、つまり FS-5、FS-4、FS-4M、FS-2 あるいは FS-122kt、FS-312kt が第一希望だったのですよ実は。だって拙者、ヒトと違うものが欲しかったんだもん、な、ウレシハズカシ27歳・・・。うーん、カタチはあんまし違わないけど、確かにFS一桁だし、ちょっとだけレアだし、これ以外のFS一桁は当面見つかりそうにないということだったし、ということで購入決定。試写の結果を見せてもらうと、その素晴らしい描写と望遠の表現力に刺激を受け、買うかどうか迷ってたのが嘘のように早く使いたいという思いは募るのでございました。

でも、まだまだ難関は待ち構えていたのです。はい、輸送の問題です。送料と税関、これです。送料は Small Packet (2kg まで) を利用した方が安いので、それぞれ2kgに収まるように荷物を分割して送ってもらえることになっていたのですが、問題なのは泣く子も黙るロシア税関。もともと厳しいのに、最近モスクワで起こった劇場占拠事件などの影響もあってやたら厳しいらしいんですよ、チェックが。そもそも、ロシアには文化財保護のための規制があって、50年以上前に作られたモノ、イコン関係、軍関係のモノは基本的に海外に持ち出せないそうなんです。さぁて困った。

ちなみに、ご存知ない方のために(って普通は知らないと思いますが)、河原さんから伺った「ロシアから外国に送る荷物の辿る道」を簡単にご説明しておきましょう。まず、荷物は梱包せずに裸のまま郵便局に持っていくそうです。そうすると無駄にガタイのいいオバチャンが一つ一つチェックをし、例の規制に引っかかりそうなモノなら「ダメー!」となってハイおしまい。送れません。そんな昔のモノじゃないですよイコンじゃないですよ軍関係でもないですよという証明なり説明が通じれば、仲良く一緒に梱包して第一関門突破となります。次にロシア税関でX線にかけられ、問題ありそうなら荷を解いておもむろにチェックされます。ここでトラぶってしまうと、色々な証明書や説明のための書類を揃えなければならないので恐ろしく面倒なことになるのだそうです。基本的には(注)、無事ここを通過したものだけが、晴れて送り出されることになります。(注: 基本じゃないルートもあるらしいです、恐いですね〜)

そして第1便(グリップとショルダーストックと取説)が届いたのが11月29日。続いて第2便(カメラボディー、標準レンズ、フィルタ、ドライバー2本)、第3便(望遠レンズ)、第4便(ハードケース)が届いたのが12月9日。3ヶ月にも及ぶフォトスナイパーゲットだぜ大作戦はここに幕を閉じたのでありました、かのように思いました。

しっかりとテープで梱包された荷物を解いて取り出し、一通りチェックをすると、動作は問題なし。うーん、いい感じいい感じ。備品はどうだ・・・あ、アイカップが入ってない〜、ふぃ、フィルターが割れているぅ〜(お城が燃えているぅ〜)。アイカップは前のオーナーが無くしたらしいので仕方ないですし(でも何か代用品を探さねば・・・)、割れていたフィルターは1枚だし元々あまり使わないので問題なし。今度こそ、長かったフォトスナイパーゲットだぜ大作戦は閉幕し、やっとお掃除に取り掛かれたのでした。

わがままな注文に快く応じ、超面倒な4分割発送+オバチャン&税関対策をしていただいた上に、本体25,000円、発送料・手数料10,000円の計35,000円で届けてくださったベルニサージュの河原さんに改めて御礼を申し上げます。モロ銃器なフォトスナイパーが正規のルートでモスクワから鉄のロシア税関をくぐって東京までやってきたというだけでも、充分自己満足度を上昇させてくれております。

 
 

 
 

さぁーて、前説が長くなってしまいましたが、ここからが本番です。撃てる男の持つカメラ、あるいはモテル男の撃つカメラ、それともモテナイ男も撃つカメラ、こと PHOTOSNIPER FS-3 をずずずぃーっと紹介してまいりましょう。と、その前に概説をほんのり書きますと PHOTOSNIPER FS-3 というのは、フォトスナイパーの定番モデルである FS-12 シリーズや FS-122 シリーズの元となったスナイパーで、1965年から1982年までに97,938台が製造されております(私の FS-3 はホントに最後の方の1981年製)。ボディーカラーは2種類あって、The Photosniper aka FotoSnaiperに掲載されているように、初期型はグレーで後期型はブラック。基本的なデザインは後の FS-12 とほぼ同じなので、より違いのわかるグレーの方がよかったのですが、FS-3 のブラックもこれまた良しなのです。それは、カメラボディーの上部がシルバーなので、FS-12 の「全部黒」よりはスマートな印象を受けからです。

では細かく見ていきます。今回は少し趣向を変えてケースからいきます。ケースといってもそんじょそこらのカメラケースではありません。やわなビニール製でもなければ合皮製でもなく、本革製でもなければアルミ製でもジュラルミン製でもない。タフでハードなナイスガイの収まるケース、それは鉄製。ね、素敵でしょ、くすぐってくれるでしょ、男心を。でも、実際は、くすぐるどころではないくらいに重いのです。その重量、ケースだけで約2kg。ふふふ・・・期待以上のインパクトです。見るからに普通ではないケースにさらに追い討ちをかけるような PHOTOSNIPER のプレートがまた泣かせます。

その中身はと言いますと、こんなことになってます(パカっと開けた写真参照)。単なる見せ掛けではなく、かなり合理的にできているんですよ、このケースは。中には、ショルダーストックがはめ込みで固定され、さらにカメラボディーと望遠レンズ、そしてグリップがネジ止めでしっかり固定されるようになっております。フタには、フィルターとか標準レンズとかドライバーとかが、これまたネジ止めやらはめ込みで固定されるようになっております。っていうか、武器じゃん(笑)。

 
 

 
 

それでは、ケースから取り出しましょう。ま・ず・は、標準レンズを取り付けたお姿をどうぞ。これはこれで、普通にカッコイイじゃーあーりませんか。ボディーは ZENIT-ES と言って、300万台製造された ZENIT-E の PHOTOSNIPER 版。見た目以上にコンパクトで、ホールディングも上々。分割巻き上げも小気味よく、全面マットなファインダーも結構使いやすいのです。絞り機構はマニュアルですが、HELIOS-44M のようなマニュアル絞り・自動絞り切り替え対応のレンズならプリセット絞り的に使うこともできます。私は今回 FS-3 を手にして逆に ZENIT-E がちょっと欲しくなってしまいました。

ただ、イヤーンなところももちろんあります。それは、カメラの名前とかダイヤルの数字などの文字とか数字がほとんど全部印刷であること。しかも結構剥げやすいんですわ、これ。この ZENIT-ES が届いた時にはカメラ名の印刷はほとんど剥げた状態でしたし、ダイヤルを掃除している時、うかつにも目盛りを一部剥がしてしまいました(泣)。なんで耐久性のある金属を使ってカメラを作っておきながら、文字や数字は印刷で済ませてしまうかなぁ・・・。

あと、かなり要注意なのが露出計の表示窓。露出計自体はセレンの追針式で悪くは無いんですが、表示窓がダメダメです。普通こういう窓ってガラスとかプラスチックとかでガッチリと覆ってあるものだと思いますが、この子の窓を塞いでいるのはプラスチックというかペラペラのフィルム。しかもすんごくデリケート。クリーナーを付けた綿棒で軽く拭いていたらなんと取れてしまいましたよ!奥さん。「ま、いっか、ウチのは風通しいーんです」なんて言って誤魔化そうか、なーんて一瞬思いましたが、そういうわけにもいかないのでピンセットを使って格闘すること十数分、なんとか取り付けに成功しました。実はこれも波乱の一部だったのです。

 
 

 
 

つ・ぎ・は、300mm望遠レンズです。どうですか、この迫力。付属のフードをつけると存在感は「はらたいらさんに3000点、倍率ドン、さらに倍」って感じ。すみれ色のコーティングは、このレンズが単にイカツイだけではなく、実は描写もかなり「いけるくち」なんだよ〜ということを教えてくれるのであります。試写の結果を見せてもらいましたが、いい感じでしたよ〜。

ただ、こちらも重量約2kgなので、重い重い。いや、ホントに重いんですよ。コレもって国境警備をしていたソ連兵はさぞや大変だったろうと思います。でも、逆に、軽くても萎え〜なんですけどね。

 
 

 
 

最後に、フォトスナイパーのスナイパーたるグリップ部分をしかとお見せいたしましょう。まず、目に飛び込んでくるのが、グリップ上部にはめ込まれたキリル文字の PHOTOSNIPER のプレート。このキリル文字はアナタの目にも眩しいはずです。別のページで詳しく触れますが、マニュアルもキリル文字だったことを考えるとこの FS-3 はソビエト国内バージョンであると言えます。でも、ケースがなんでラテン文字なのかは不明。多分「そんなことはどうでもいいこと」だったんだろうと思います。

次はやっぱり引き金です。引き金は2つのポッチリと連動していまして、軽く引くとレンズの下にある銀色のレバーを押し上げ、絞りを開放からセットした値にまで絞り込みます(最初にレンズの赤いポッチリをグリっと回して開放にし、その後絞りをセットしておく必要があります)。さらに引くとカメラボディーの底にあるボタンを押し上げ、シャッターが切れるという仕組みです。ショルダーストックがあるおかげで、なんとまぁ300mmとは思えないほどにぶれないんですよ、スゴイスゴイ。

と、まぁ実用的なスナイパー君ではありますが、なんと言ってもライフル型というのがもうやっぱり男心を捕らえて離さないんですよ。なんか嬉しくなっちゃうんですよね。だから、ついつい構えて空撃ちしたくなってしまうのです。部屋の中で構えてピントを合わせて引き金を引く。カ、カション、と思ったよりも少ない衝撃で狙撃は完了。う〜ん、早く外に持って行って撮りてぇ〜!

以上で PHOTOSNIPER FS-3 のご紹介はおしまいなんですが、今回はもう一つオマケがあります。それは、これに付属してきたマニュアルの表紙・中表紙・裏表紙に使われている写真の披露です。なかなか貴重なモノだと思われますので、興味のある方は是非Photos in FS-3's Manualのページもご覧ください。

最後の最後に素朴な疑問。ケースにもグリップにもショルダーストックにもレンズにもボディーにもマニュアルにも FS-3 なんて一言も書かれていないのに何故 FS-3 なんでしょう・・・。

2002年 作成

 
 
 
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